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「何て顔をするんだよ。情けない奴だなぁ。
この程度のことで参っていたら、
私の護衛は務まらないぞ。
やはり信じられないか?ならもう一度言ってやる。

アレックス。
私はおまえを愛してる。
だから、おまえまで私を残して逝くなんて言うな。
せめておまえくらい、私と未来を生きてくれ」
アレックスが主の言葉を受け止めている間にも、
敵からの追撃は止むことがなかった。
さすが、銃での威嚇は最初の数発のみで
留めたようだったけれど、
反撃を警戒しつつ着実に距離を詰めてくる
気配が見える。

数においての劣勢は、
アレックスの実力をもってすれば
覆すくらい簡単にできる。
だがカガリと後部にある側近たちの安全は、
何としても保持せねばならない。

機内での発砲ですら厭わない、
なりふり構わぬ敵を相手に戦うとなれば、
劣勢であるのは確かだった。
これ以上、くだらない感傷で
敵への対応を遅らせるのは得策ではない。

選び取るべき未来はただ一つだ。
そうである以上、何を捨て、何を守るべきなのか、
すべてはわかりきっている。

些事に囚われ、危険を侵す意味はない。
大体が、こんなにもわかりやすい選択に迷うなど、
大局を見通す英明な、
アレックスの主に限ってありえない。

なのに何故、アレックスを捨てる
との意を示すことをカガリはしない?

「こんなにもわかりきったことなのに」

理解不能な主の思考。
にも関わらず
そんな不条理に逆らう術を持たないことが、
アレックスにはもどかしくてならなかった。

「貴女と言う方は……」
苛立つように告げられて、カガリが緩く首を振る。

「おまえこそ、少しはわかってくれないか。
私にはおまえを諦める意志はない」

だからこそ、彼にとっては理不尽な
主の我儘と承知の上で、
カガリは敢えて率直な言葉を選んだ。
真っ直ぐな瞳がアレックスを射抜いた。

「アレックス。おまえはアスランに作られた、
私……カガリ・ユラ・アスハの為だけの、
主の心と人生を守ることが至上の
アンドロイドだと私に言った。
なら、おまえの使命は私の日々を、
平穏に維持することだろう?」
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