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居間に戻るとご機嫌のカガリが迎えてくれた。
彼女が差し出してくれたグラスに注がれた水を飲み、
カガリを促し寝室へ向かう。

先んじて部屋へと入ったアスランに、どうぞと柔らかに促され、
お邪魔しますとカガリが室内に足を踏み入れる。
元気一杯物怖じしない彼女にしては、
やけにきょろきょろと周囲に視線を巡らせるのは、ア
スランのプライベート空間への興味だろうか。
それとも……。

アスハの屋敷で約二年、カガリとは一緒に過ごしていたし、
あちらにいたときアスランの部屋はカガリの私室も同然だった。
だから、今更物珍しく思うものなど
特になさそうな気がすると、
アスランはベッドに腰掛けカガリを見つめる。

カガリはカガリで、自らが率先してそれを望んだ
と言う状況にありながら、
今頃になって恋人の寝室、
しかも彼のベッドに招かれていると言う現実に思い至って、
少々怖気づいていた。

アスランに限って、カガリ当人の了承も得ず
無体は仕掛けてこないと思う。
彼は優しい。
そして、カガリなどの何倍も理性的だ。
だからきっと。でも。

……自分は今、アスランの何に惑い、
何を期待しているのだろうか。
もしかしたら、いや間違いなく。
選択権は自分にしかないと言うのに。

『ごめん』と言えば、間違いなく彼は『何が?』と
微笑んでくるだろう。
アスランの覚悟はとっくの昔に決まっていて。
カガリのそれだって……たぶん本音を言えば
とうの昔に決まりきっていると言うのに。

彼と一生一緒にいたい。
それはカガリにとっての真実だ。
だけど……。
入るなり壁に付けるように据えられた、
ベッドの狭さと睡眠用に絞られた部屋の照明が、
カガリの気持ちを更に落ち着かなくさせていた。

「……あの、さ。アスランは、
いつもこんな感じで寝てるのか?」

「うん。そうだけど?」
「狭くないか?」

それが何かと怪訝な様子でアスランに問われ、
細い手首を掴み寄せ、途方に暮れたカガリが言った。

「狭いって何が?」
「このベッド」
あぁ、そうか、なるほどとアスランが笑う。

「一応、一般的なセミダブルの広さはあるんだが」
アスランが不思議そうに小さく首を傾ける。

「まぁ、屋敷とか外遊でカガリが泊まるVIPルームの標準の広さと
比べれば、相当狭く見えるよな。
ただここは官舎でスペースが限られているし、
軍属の俺たちは転属による転居もある。
だから家具とかそう言ったものは、最低限のもの以外
用意するのは難しい」

苦笑とともに告げられて、
そう言えばAAでの個人用のベッドと言えば、
ごく狭いものであったことを思い出す。

「ご、ごめん!確かにそう言うものだった。
ここ最近宇宙船に乗ることも、
マルキオ導師のとこに泊まりに行くことも
なくなってたからさ!!」

ついうっかりと忘れていたのだと慌てふためく
カガリが言えば、気にしなくていいさとアスランがカガリの手を引いた。
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