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「……え。いや。誰っておまえ。
一応当人から口止めされるから名前までは言えないんだけど。
アスランと私はちょっと特殊な感性の持ち主だから、
それとは違う一般的な感性を持っていて、
過去はどうあれ現在はちゃっかり社会に溶け込んで、

人々に尊敬と崇拝を捧げられている上に、
模範的な良識と適度な権力、
社会通念上適切と思われる価値観と地域の風習を
確実に理解する、私にとっては身近な女性」

「……ラクスか」

ここんちの夫婦、完全に面白がられてること確定だ。
って言うか、アスランの人生万事窮す?
わかるけど。
カガリだったらストレートに
ラクスに聞くだろうことはわかるけど。

そしてラクスが悪気なく、にっこり笑って
その手のことをアドバイスするだろうこともわかるけど。
だからってそんなありえないことを提案されて、
素直に実行するだとか。

「君ってば、どこまで世間知らずなの?
せめて僕かミリイにでも、確認してから実行しなよ」

これだからカガリは危なっかしくて、
一時も目が離せないとキラが思わずこめかみを押さえた。

「あれ?ちょっと待って。
でもそれ受けなかったとか言ったよね?
嘘。まさかとは思うけど、
アスランってば、
君にそれをやって貰って全然喜ばなかったとか?」

「……うん。どちらかって言うと、
喜んだって言うより
酷くショックを受けてた感じだったかな。
手に持ってた仕事用のスーツケースを
立ったまま取り落とした挙句、
真っ青になったまま固まってな?」

でもって直後に真っ赤になって。

「そのあといきなり、着てた軍服を
私の頭から被せて来たと思ったら、
ものも言わずに寝室に突っ込まれて」

そのままシャワー浴びに行ったきり、
あいつってば全然帰ってこなかったんだと
カガリが何とも言えない表情を見せた。

「挙句相当経って戻ってきたと思ったら、
寝室のベッドに座って放心してた私をじっと見てな?
くるりとこちらに背を向けて、
言うに事欠いて『そのままだと
風邪を引くから服着てくれ』とか言い出して」

言われるままに服を着て、部屋に戻ってみたんだが、
アスランはその日一日
結局おかしなままだったと複雑な口調のカガリが言った。

「それは明らかにカガリが悪いよ。
アスランだって、そりゃパニックにもなるでしょう。
緊急避難でお風呂飛び込んで
出るに出られなくなっちゃったのも、
同じ男としてはよくわかる。

だって、他の人ならいざ知らず、
よりによってカガリだよ?
カガリ自らそんなチャレンジャーなことするなんて、
気がフれたとか思うって。
アスラン、ごめんね。うちの妹が物知らず過ぎて」

キラがかろうじてその言葉のみを絞り出した。

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